センスとはなにか?―「スキル」と「センス」の間にあるもの―
この週末、一橋大学教授・楠木建氏のYouTubeや著作に触れ、「センスとは何か?」という難問にあらためて向き合いました。ビジネスでも日常生活でも、“センスの良い人”は、なぜか他人から一目置かれます。しかし、センスとは一体どのような資質なのか。本当に説明できる人は少ないように思います。
これまで私は、服装や立ち居振る舞い、あるいは会話の間や空気の読み方に、しばしば“センスの差”を感じてきました。また、週末に何気なく観ていたNHK「のど自慢」で、有名歌手のゲストが出場者にかける一言や、その眼差しや立ち居振る舞いにも、はっきりとした“センスの良さ”を見出すことができました。
それは単なるテクニック(スキル)ではなく、“その場をどう捉えて、自分をどう表現するか”という無意識レベルの判断が、言葉や態度ににじみ出ているのだと感じます。そこで私は、「センスの良し悪しは、どれだけ客観的に自己認識ができているか」に関係しているのではないかという仮説を持ちました。本稿では「スキル」と「センス」を対比しつつ、この難題に迫ってみたいと思います。